7) 代表的な薬物のタンパク結合能


タンパク結合率が

特徴的な(大きい or 小さい)薬物について

以下、列挙します。




蛋白結合率が大きい薬物

シクロスポリン、タクロリムス

ワルファリン、プロフェン

プロプラノロール、アミオダロン

クロルプロマジン、ジギトキシンなど。



小さい

リチウム、バンコマイシン、ゲンタマイシン

ジゴキシン、モルヒネ など。



この「タンパク結合率」を

どう測定するかについて、以下詳しく説明します。



タンパク結合率は

平衡透析法により計算することができます。

平衡透析法とは、以下のような実験です。




上図は、式で表すと

「非結合薬物+タンパク質 ⇄ 結合型薬物」です。


記号として

非結合薬物を、free な Drug で、「fD」

タンパク質を、フリーな Protein なので 「fP」

結合型薬物を、タンパク質と薬物の結合なので 「PD」

と、以下表します。



式を書き直すと

「fD + fP ⇄ PD」 です。


この関係において

平衡定数を「結合定数」と呼び K で表します。

すると、 K = [PD]/[fD][fP] と書けます。



この式を、いろんな工夫をしつつ変形すると

タンパク質 1  分子に

薬物が何モル結合するかを r とした時

r を fD で表すことができます。


※r = [PD]/[P] です。

なぜなら、全タンパク質を分母として

薬物と結合したタンパク質が PD だからです。


(参考ですが

r は、タンパク質がもさっとあって

薬物を入れて混ぜた時

タンパク質と薬物が結合する 確率を表し

0 ~ 1 の間をとる と考えるといいかもしれません。


ただし、後の補足で

r は1以上の値も考えるので

あくまでも理解のためのイメージとして

参考にしてください。)




r を [fD] で表すことができる、と述べましたが

具体的な式は、以下のようになります。


『r = nK[fD]/(1+K[fD]) 』

これをラングミュア(Langmuir)式 と呼びます。





式で表せば [P]=[fP]+[PD] です。







^^^以下、余裕がある人のみで OK^^^^

タンパク質と薬物の結合定数 から

ラングミュア式への導出は、以下の通りです。

(式の変形をゆっくり追ってみてください。)


※前提として

[P]を、総タンパク質濃度 とします。

いいえかれると、[P] は

遊離しているタンパク質+薬物結合タンパク質の濃度 です。


式で表すと

[P]=[fP]+[PD]・・・(1)


(1)を変形すると

[fP]=[P]-[PD] ・・・(1)’ となります。



これを結合定数の式 

K = [PD]/[fD][fP] に代入します。

→K=[PD]/ [fD]([P]-[PD])  ・・・(2)



[PD] だけ2個あるから

[PD]について整理することを目標とします。


分数のままだとよくわからないので

両辺に [fD]([P]-[PD]) をかけて

分数じゃない式にしてみます。


K [fD] ([P]-[PD])  = [PD] 



次に

[PD]が関与する項を、右に集めます。


K [fD] [P] = (1+K[fD])[PD] 



左右を交換します。

(1+K[fD])[PD] = K [fD] [P]  



両辺を(1+K[fD])で割ると

[PD] = ・・・になります。

[PD]= K[fD][P] /(1+K[fD]) 



両辺を [P] で割ります。

[PD]/[P]= K[fD] /(1+K[fD]) 

うまく、右辺は[fD] のみで表すことができました♪



※ 薬物の結合部位が

1つのタンパク質に n 個ある場合は

タンパク質 1 mol に、n 倍薬物が結合する

と考えられます。


従って、右辺を n 倍して

『r = [PD]/[P]= nK[fD] /(1+K[fD])』


終わり。


^^^以上、余裕がある人のみで OK^^^^




ラングミュア式 では

横軸を [fD]、縦軸を r とする

「ダイレクトプロット」の他


ダイレクトプロットが

左辺を y 、[fD] を x とおけば

「y = nx/1+x」 という式の形で

グラフにすると「曲線」なので

少しわかりにくいことから


うまく横軸をとることで

グラフを直線にすることができる

「スキャッタードプロット」 や

「両辺逆数プロット」 をよく用います。


それぞれのプロットにおいて

傾きや、x 軸 y 軸との交点の座標が

何を表すかを、導くか、覚えておくとよいです。



『スキャッタードプロット』は

式:r/[fD] = nK - rK

縦軸に r/[fD]、 横軸に r をとります。


傾きが、-K を表します。

r = 0 の時の y 切片が nK を表します。

r/[fD] = 0 の時、 r=n なので

x 切片が n を表します。



『両辺逆数プロット』では

式:1/r = 1/n + (1/nK)・[1/[fD]]

縦軸に 1/r、横軸に 1/[fD] をとります。


傾きが、 1/nK を表します。

1/[fD] = 0 の時の、y 切片が 1/n を表します。

1/r = 0 の時、1/[fD] = K なので

x 切片が -K を表します。



以上です。




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