1) 薬物動態に起因する相互作用


薬物動態に起因する相互作用とは

具体的には、吸収、分布、代謝、排泄に関与する

相互作用のことです。

以下、それぞれ具体的に説明します。



【吸収における相互作用】

ある薬剤の吸収が

別の薬剤により変化する相互作用です。



代表例

「テトラサイクリン や

ニューキノロン系抗生物質

(レボフロキサシンなど)

+ 鉄剤、制酸剤」


メカニズム

金属イオン (Fe2+、Mg2+、Al3+ など)と

難溶性の複合体(キレート)を形成。

溶けなくなるから、吸収低下。



「セフジニル+鉄」

同様の理由。


※セフェム系は

吸収が悪いものが多いのですが

セフジニル(セフゾン)は吸収がよく

広く使われています。


だからこそ

相互作用で吸収が悪くなるものを

しっかりと意識する必要があります。




「アニオン性薬物

(ワルファリン、プラバスタチンなど)

+コレスチラミン

(陰イオン交換樹脂の一種)」


メカニズム

コレスチラミンが

ワルファリンやプラバスタチンを吸着し

吸収を低下させる。


(コレスチラミンは

ものを吸着して、そのまま

吸収されずに排泄される)



また

GER(胃内容排出速度)が 

抗コリン薬の投与で遅くなること 及び


GERが、メトクロプラミドの投与で

速くなることに注意が必要です。


この影響は

併用薬物によって様々なパターンが見られます。



代表例

「アセトアミノフェン+抗コリン薬」


GER↓ に伴い

アセトアミノフェンの吸収が「低下」。


※ GER ↓ だからって

併用薬物の吸収が低下と

決まっているわけではない点に注意!




【分布における相互作用】

薬剤の分布が

併用薬により影響を受ける相互作用です。



代表例

「ワルファリンとインドメタシン」


メカニズム

結合部位における競合阻害

→非結合型薬物の血中濃度が上昇

薬効が増強。出血傾向大。


(インドメタシン自体の作用機序による

薬力学的相互作用(次節の内容)もあります。)




【代謝における相互作用】

薬剤の代謝が

併用薬により影響を受ける相互作用です。

特に CYP に関連する相互作用が重要です。


また

薬だけでなく、喫煙や食事との併用でも

大きな影響があります。


以下、CYP のサブタイプ別に

相互作用を列挙します。



CYP1A2 

喫煙で誘導を受ける。 

→テオフィリン等の作用が減弱。


CYP3A4 

フェノバルビタールなどで誘導を受ける。

マクロライドで阻害される。


※15,16員環マクロライドの

アジスロ、ジョサマイシンは

ほぼ阻害しない。



また、CYP 3A4 は

セントジョーンズワート

(気分を整えるハーブの一種)で誘導を受け

グレープフルーツジュース

(GFJと略されます。)で阻害される。



CYP全般

アゾール系 及び シメチジンで阻害される。




CYP 以外の代謝酵素に関する相互作用として

MAO に関する相互作用が知られています。


代表例

MAO 阻害薬であるセレギリン と

MAOで代謝される SSRI(フルボキサミンなど)。




【排泄における相互作用】

薬物の排泄が

併用薬により影響を受ける相互作用です。



「分泌過程」において

同じトランスポータで輸送される薬物同士が競合し

排泄阻害されることがあります。


例)プロベネシド+メトトレキサート。

共に有機アニオントランスポーターにより

分泌される薬物のため

分泌が抑制されて、血中濃度が上昇。



また、「再吸収」において

併用薬の影響で pH が変化し

それに伴い薬物の再吸収に影響が及び

血中濃度が変動することがあります。


例)アセタゾラミド+炭酸水素ナトリウム

→pH が、炭酸水素ナトリウムにより大きくなり

アセタゾラミドのような弱酸性物質は

再吸収減少になる。

(イオン形が多くなるから。)




+α P - 糖タンパク質(P-gp)  関連。

P - gp は

様々な薬物を基質とするため

薬物併用により

競合がおきることがあります。


代表的な基質として

ジゴキシン、シクロスポリンを

まずは憶えるとよいと思います。



以上です。




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