2-1 1) 代表的な全身麻酔薬





全身麻酔薬とは
痛みを除去し、意識消失を伴い、骨格筋を弛緩させ、各種反射を消失させる薬です。
これにより外科的手術が容易になります。

感覚に着目すると、全身麻酔により
温痛覚→触覚→圧覚の順で感覚が失われていきます。



麻酔の経過は、第1期~第4期に分類されます。

第1期は、痛覚が消失します。

第2期は、みかけ上の興奮が見られます。
みかけ上の興奮とは、例えば不規則な、荒い呼吸です。
これは抑制系が、麻酔により抑制されることが原因とされています。
抑制系の抑制は、脱抑制と呼ばれます。

第3期は、脊髄まで麻酔が作用し、骨格筋弛緩がおきます。別名手術期とよばれます。

第4期は、中毒期です。
延髄にまで麻酔が作用してしまうことにより、生命維持に必要な機能である呼吸などが維持できなくなります。




全身麻酔薬は、大きく2つに分類されます。

   ⅰ.吸入麻酔薬 (気体)
   ⅱ.静脈麻酔薬 (液体)



ⅰ.吸入麻酔薬

代表的な吸入麻
酔薬は
 ・ハロタン(フローセン)
   ・イソフルラン(フォーレン)
   ・セボフルラン(セボフレン)
   ・N2O(亜酸化窒素=笑気)
などが挙げられます。
( )の中に書いたのは、商品名の一例です。


ハロタンは、不整脈誘発をしやすいという性質があります。
これは、心筋のカテコラミンに対する感受性増大作用が強いためです。
つまり、ハロタンを使う→カテコラミン感受性増大
→アドレナリンが大量に出ているのと類似した状態
→不整脈という流れになります。
又、肝障害をおこすことがあります。

この点を改良したのが◯◯フルラン(イソフルラン、セボフルラン)です。
副作用が少なくなっています。
又、◯◯フルランはハロタンより麻酔導入が速やかです。

亜酸化窒素の特徴は、血液/ガス分配係数が小さいことです。
血液/ガス分配係数が小さいというのは
血があっという間に麻酔ガスで飽和するという意味です。
そのため、吸入開始→すぐ血液に麻酔ガスが飽和→すぐ中枢に作用するといえます。

つまり、血液/ガス分配係数が小さければ
麻酔の導入が速やかに行うことができます。



ⅱ.静脈麻酔薬 

代表的な静脈麻酔薬は
   ・ チオペンタール(ラボナール)
   ・ プロポフォール(ディプリバン)
   ・ ドロペリドール・フェンタニル(タラモナール)
   ・ ケタミン(ケタラール10)
などが挙げられます。



チオペンタールの特徴は、ヒスタミン遊離作用があることです。
このため喘息患者には禁忌となります。
又、作用時間が短い麻酔薬です。これは他の脂肪組織に速やかに再配分されるためです。


プロポフォールの特徴は、非ベンゾジアゼピン系であることです。
また、作用時間が超短時間です。
これは肝臓で速やかに代謝されることが原因です。
見た目は白いアンプルに入った薬です。(参考 下写真)
GABA
A 受容体機能亢進により麻酔作用を示します。



http://www.yunic-vet.jp/item/detail.aspx?id=1918


ドロペリドール・フェンタニルの特徴は
意識を残した麻酔に用いられることです。


ケタミンの特徴は、NMDA受容体拮抗薬であることです。
ドロペリドール・フェンタニルと同様に、意識を残した麻酔を目的として用いられます。


代表的な全身麻酔薬をまとめると、以下の表のようになります。










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