2-2 2) 副交感神経に作用する薬





副交感神経は
節前繊維、節後繊維共に
コリン作動性神経で構成されます。


副交感神経系に作用する薬とは
アセチルコリン受容体に作用したり拮抗したりする薬です。


アセチルコリン受容体には
節前繊維のシナプスにおいて Nn 受容体
節後繊維のシナプスにおいて M 受容体が存在します。
M 受容体は、更に M
1 、M2 、M3 受容体に分類されます。


コリン作動薬は
作用機序に基づき、大きく3つに分類されます。

   ⅰ.直接型コリン作動薬
   ⅱ.間接型コリン作動薬(可逆的ChE阻害剤)
   ⅲ.間接型コリン作動薬(非可逆的ChE阻害剤)



ⅰ.直接型コリン作動薬 

このタイプの代表的なコリン作用薬は
   ・アセチルコリン(オビソート)
   ・ベタネコール(ベサコリン)
   ・カルバコール(グラウマリン)
   ・ピロカルピン(サンピロ)
などが挙げられます。
(  )の前に書いたのが薬の一般名
(  )の中が商品名の一例になります。


アセチルコリン、
◯◯コール(ベタネコール、カルバコール)、ピロカルピンは
直接型コリン作動薬です。

ムスカリン様の作用を持ち、M 受容体に作用します。
その結果、消化器の活動を促進させたり、瞳を縮ませたりします。



ⅱ.間接型コリン作動薬(可逆的ChE阻害剤) 

このタイプの代表的なコリン作用薬は
   ・ネオスチグミン(ワゴスチグミン)
   ・ジスチグミン(ウブレチド)
   ・アンベノニウム(マイテラーゼ)
   ・エドロホニウム(アンチレクス)
などが挙げられます。


◯◯チグミン(ネオスチグミン、ジスチグミン)
アンベノニウム、エドロホニウムは
間接型コリン作動薬(可逆的ChE阻害剤)です。

アセチルコリンを代謝するコリンエステラーゼ(ChE)を阻害することで
間接的にアセチルコリンの量を増やす薬です。

可逆的とは、時間が経つとChE阻害がなくなるということです。



ⅲ.間接型コリン作動薬(非可逆的ChE阻害剤) 

このタイプの代表的なコリン作用薬は
   ・サリン
   ・パラチオン
などが挙げられます。


サリン、パラチオンは
間接型コリン作動薬(非可逆的ChE阻害剤)です。

時間が経っても、ChEは活性を取り戻しません。

サリンやパラチオン中毒では、ChE阻害→Achの増大
により様々な受容体が刺激され
症状としては意識混濁や全身痙攣がおきます。

プラリドキシム(PAM:pralidoxime iodide)という解毒剤が
治療として用いられます。



代表的なコリン作動薬をまとめると、以下の表になります。







抗コリン薬は M 受容体を遮断する薬です。
抗コリン薬における有名な副作用は
口渇、便秘、排尿困難、眼内圧上昇です。
抗コリン薬は、主に用途により8つに分類されます。

   ⅰ.ベラドンナアルカロイド
   ⅱ.散瞳薬
   ⅲ.鎮痙薬
   ⅳ.消化性潰瘍治療薬
   ⅴ.気管支喘息治療薬
   ⅵ.流産・早産防止薬
   ⅶ.頻尿治療薬
   ⅷ.抗パーキンソン病薬  



ⅰ.ベラドンナアルカロイド

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・アトロピン
   ・スコポラミン(ハイスコ)
などが挙げられます。


アトロピン、スコポラミンは
ベラドンナアルカロイドです。
目をぱっちりさせるのに使用されていた植物
(ベラドンナ:イタリア語で「美しい女性」という意味)
のエキスを由来とする
抗コリン薬の原型です。



ⅱ.散瞳薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・ホマトロピン
   ・トロピカミド(ミドリンM)
   ・シクロペントラート(サイプレジン)
などが挙げられます。


これらの薬は、作用時間が短いという特徴があります。
点眼で使用することで、全身作用を避ける事ができます。
覚え方として、「トロピ」が見えたら抗コリン、散瞳と覚えると
覚えやすいかもしれません。



ⅲ.鎮痙薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・プロパンテリン(プロ・バンサイン)
   ・ブチルスコポラミン(ブスコパン)
   ・メペンゾラート(トランコロン)
   ・プリフィニウム(パドリン)
などが挙げられます。


プロパンテリン、ブチルスコポラミン
メペンゾラート、プリフィニウムは、鎮痙薬です。
鎮痙薬とは、胃や腹痛の時に用いられる
胃腸の過剰な活動を抑制する薬のことです。



ⅳ.消化性潰瘍治療薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・ピレンゼピン(ガストロゼピン)
などが挙げられます。


ピレンゼピンは、消化性潰瘍治療薬です。
M
1 受容体を選択的に遮断し
胃壁細胞からの胃酸分泌を抑制します。



ⅴ.気管支喘息治療薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・イプラトロピウム(アトロベント)
   ・オキシトロピウム(テルシガン)
などが挙げられます。


イプラトロピウム、オキシトロピウムは
気管支喘息治療薬です。
4級アンモニウム構造で
イオンなので消化管から吸収されにくく
吸入で用いられます。


ⅵ.流産・早産防止薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・ピペリドレート(ダクチル)
などが挙げられます。


ピペリドレートは、流産・早産防止薬です。
子宮平滑筋の弛緩作用により、流産・早産を防止します。



ⅶ.頻尿治療薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・プロピベリン(バップフォー)
   ・オキシブチニン(ポラキス)
などが挙げられます。


プロピベリン、オキシブチニンは
頻尿治療薬です。
排尿運動を抑制することで、頻尿や尿失禁に用いられます。

(プロピベリンやオキシブチニンは
抗コリン薬の副作用をうまく活用した薬の1例といえます。
医薬品には本来副作用として知られていた作用を
うまく活用した薬がいくつもあります。

「薬は使い方によって毒にも薬にもなる」
「クスリはリスク」といった言葉を
実感できる例の1つであると思います。)



ⅷ.抗パーキンソン病薬

このタイプの代表的な抗コリン薬は
   ・トリヘキシフェニジル(アーテン)
   ・ビペリデン(アネキトン)
   ・ピロヘプチン(トリモール)
   ・マザチコール(ペントナ)
   ・プロフェナミン(パーキン)
   ・メチキセン(コリンホール)
などが挙げられます。


トリヘキシフェニジル、ビペリデン、ピロヘプチン
マザチコール、プロフェナミン、メチキセンは
抗パーキンソン病薬です。
パーキンソン病の筋固縮や振戦に対して使われます。

(補足:多少病態の話を補足します。
パーキンソン病における筋固縮や振戦といった症状は
中枢におけるドパミン作動性神経と、コリン作動性神経の
バランスの崩れにより引き起こされると考えられています。

パーキンソン病の原因は
ドパミン作動性神経機能の衰弱と考えればよいです。

そこで、抗コリン薬により
コリン作動性神経の機能をうまく抑制し
神経系のバランスを整えることにより筋固縮や振戦といった
症状の改善が見られるとされています。
イメージは下のようになります。)






代表的な抗コリン薬をまとめると、以下の表になります。