1-1 1) 薬物の用量と作用の関係





薬は多く使うほど、効果が強く出ます。
つまり、薬物の用量と効果は相関します。

よく薬理学では、横軸に薬物の用量の対数をとり、縦軸に効果をとった曲線を用います。
この曲線のことを用量-反応曲線と呼びます。以下のようなイメージです。






試験動物や試験細胞の半数に目的の薬理作用が現れる用量を50%有効量と呼びます。
普通はこ
れをED50(effective dose 50%)と表します。
この「目的の薬理作用」が「死亡」である時を特に50%致死率と呼
LD50(lethal dose 50%)と表します。
E
D50とLD50の比(LD50/ED50)を安全域といいます。
この値が大きいほど、薬の効き目が見られる量から致死的な作用が出てしまう量までの間隔が広く、
それだけ安全性の高い薬であるといえます。


薬の作用は、薬物分子とその受容体の相互作用により引き起こされます。
2種類以上の薬物を併用した時に作用が増強する時、それを協力作用といいます。


協力作用は、大きく2つに分類されます。

1つめは、相加作用です。
これは、それぞれの薬物が同じ受容体に作用する場合の作用です。
2つめは、相乗作用です。
これは、それぞれの薬物が異なる受容体に作用する場合の作用です。


逆に、2種類以上の薬物を併用した時に、作用を打ち消しあう時は拮抗作用といいます。
拮抗作用は、大きく3つに分類されます。

1つめは化学的拮抗です。
これは、ある薬物が他の薬物と化学反応をおこし、不活化される拮抗様式です。
代表的な例は、鉛に対するEDTAです。
この例の場合は、EDTAが鉛とキレートすることにより、鉛の毒性が低下します。

2つめは薬理学的拮抗です。
薬理学的拮抗とは、ある薬物と他の薬物が、同一受容体をターゲットとすることによる拮抗様式です。

薬理学的拮抗はさらに競合的拮抗と、非競合的拮抗に分類されます。
競合的拮抗とは、ある薬物と他の薬物が、同じ受容体の同じ場所を共に作用点とするためにおこる拮抗様式です。
非競合的拮抗とは、ある薬物と他の薬物が、同じ受容体の違う場所や、そもそも異なる受容体を作用点とするような拮抗様式です。

3つめは機能的拮抗です。
機能的拮抗とは、作用する受容体が異なるにもかかわらず、相反する効果を生じるような薬同士の拮抗様式です。


以上の拮抗作用の分類を簡単にまとめると以下のようになります。










受容体と薬物の反応度合いを表す指標として、内活性という概念があります。
内活性は、0~1の間をとります。
1に近い内活性を持つ場合、ある薬物がすごく受容体と相性がよく、大きい反応を起こすとイメージすればわかりやすいです。
0に近い内活性を持つ場合は逆に、薬物と受容体がくっついても反応をほぼ起こさないとイメージするとよいです。

作動薬と拮抗薬の活性を示す指
標として、pD2,pA2,pD’2があります。

p
D2は、薬物効力の強さを表します。ED50と似てます。
定義はpD2=-log(ED50)です

pD2は値が大きいほど、よく効く薬と考えてよいです。
(正確には、少量で作動する薬)



pA2は、
競合的拮抗薬の効力を表します。
作動薬の用量-反応曲線を2倍高濃度側に平行移動させるのに要する
競合的拮抗薬のモル濃度の、負の対数
値です。

つまり、pA2が大きいほど、よく競合的拮抗する薬ということです。



pD’2は、
非競合的拮抗薬の効力を表します。
作動薬による最大反応を50%に抑制するのに要する
非競合的拮抗薬のモル濃度の、負の対数値です。

つま
り、pD’2が大きいほど、よく非競合的に拮抗する薬ということです。



これらの指標のポイントは、pがついたら、値が大きいほどよく効くイメージです。
Dは作動薬、Aは競合的拮抗薬、D'は非競合的拮抗薬ということです。



最後に、EC50という指標がたまに見られるため、補足解説を加えます。
EC50half maximal (50%) effective concentration)
試験動物や試験細胞の半数に目的の薬理作用が現れる血中濃度のことです。  
ED50投与量だったのですが、EC50は、血中濃度であることが違いです。



薬理学における薬物の種類と指標をまとめると、以下のようになります。