1-1 2) 物質の溶解と速度






溶解とは、溶媒に気体、液体、固体が溶けて
均一な混合物である溶液になる現象のことです。

以降、固体(薬物)の溶解について話をします。


固体の溶解においては、溶解熱の出入りを伴います。

固体が溶媒中に溶解する量の上限値のことを溶解度と呼びますが
この溶解度は、温度と溶解熱の関数で表されます。
すなわち





が成立します。

X1,X2は、温度T1,T2における物質の溶解度。
※Rは気体定数。
※⊿Hは溶解熱。



固体の溶解現象は、崩壊、分散を伴いながら溶解します。
溶媒に溶け込む溶解速度は、大きい粒よりも顆粒が、顆粒よりも粉末の方が速いです。
これは、溶媒と触れる表面積の量が大きいからです。

固体の溶解過程は、層状に
固体→飽和溶液→拡散層→内部溶液としてモデル化されます。
このモデルに基づく式が
Nernst-Noyes-Whitney(ネルンスト・ノイエス・ホイットニー)の式
及びNoyes-Whitney(ノイエス・ホイットニー)の式です。


すなわち、溶解現象が拡散律速であるとして拡散層を仮定し
溶解速度に関する種々のパラメータの関係を表す式です。
以下のような式(Nernst-Noyes-Whitneyの式)になります。





※S:固体の表面積、V:溶液の容積、δ:拡散層の厚さ、D:拡散係数(後述)、Cs:溶解度



※R:気体定数、T:絶対温度、η:溶媒の粘度、r:粒子の半径、N:アボガドロ数


上の式において



とおいた式がNoyes-Whitneyの式です。
以下の式になります。






積分した形の式が以下になります。
導出に関して改めて解説します。







Noyes-Whitneyの式の微分型から積分型への導出は以下のようになります。
Csは溶解度なので、定数扱いであることに注意が必要です。





又、溶解による固体表面積の減少を考慮に入れた式が
Hixson-Crowell(ヒクソン-クロウェル)式です。

Hixson-Crowell式では、2つの条件が仮定されています。
すなわち、初期濃度が溶解度よりはるかに小さいこと(シンク条件と呼ばれます)と
粒子径一定の粒子が、球状を保ちつつ溶解するという仮定です。

以下の式になります。




※W
0:固体
粒子の初期質量、W:時間tにおける固体粒子の質量
※k:みかけの溶解速度定数

初期質量と、ある程度時間が経過した時の質量を測定することにより
kを求めることができるという点がポイントです。



補足 Hixon-Crowell 式の導出過程

※ 国試対策としては、全く不要です!

粒子の溶解のイメージは、以下のようになります。




実際には、粒子は1個ではないので
N 個あるとすれば


と表すことができます。



一方で、溶解現象なので
この節で解説した
Nernst-Noyes-Whitneyの式


も成り立ちます。
この式から、少しアプローチします。

Cs>>Cという仮定をおくことにより
Cs-C ≒ Cs とおきます。
すると、以下の式になります。



少し、式の形を変形させると


です。


この式の左辺 VdC は
(dV)C とすれば、(微小体積)×(濃度)なので
減少した質量といえます。 
つまり -dW = VdC です。

一行にまとめると



となります。
これで、dW と、t が、何か関係があるような式に
なってきました♪


次に、dW(質量の減少量) = ρdv(密度×減少した体積)
及び、S=N×4πr^2 (粒子がN個なので、N×表面積 です)  

を代入すると、以下の式になります。




ここで、一番始めに表した式である



を用いて、式を簡単にします。
ちょっと見た目を変えて




としておきます。


すると



の形を変えて




とすれば、左辺を -dr とすることができるので



となります。

t = 0 → t = t
r = r0 → r = r 
の範囲で、上の式を積分すると





文字はいっぱいですが、結局
積分する変数が、左辺にも、右辺にも入っていないので
1を x で積分したら x であるように
左辺は r 右辺は t をつけて
定積分の計算になります。
式は以下のようになります。


計算すると


となります。


後は、この r と r を、W、W にすれば、終了です!


粒子径と、重さの間には
粒子が N 個なので


がなりたちます。

これを、r について解きます。
すると


※ r0 = の時は、W0 とします。
これを代入すると


です。ほぼゴールです!
形をあわせていきます。
共通因数をくくりだします。






右辺の分母・分子に、3√(4ΠρN)δρをかけます。
右辺は、√では無い方がわかりやすいので、指数で表します。





後は、定数部分の処理です。
抜き出すと



(new)

です。分母を3(整数)にするために








何とかして、36を、3乗の形にするために




とすることで


となるので、定数項の処理も終わりです。